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論文作成のための準備作業として,収集した情報,調査したこと,現時点における自分の考えを整理してみたことなどを断片的に記したものである。
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アダルトチルドレン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 
アダルトチルドレンとは、機能不全家庭で育ったことにより、成人してもなお内心的なトラウマを持っている人のことを指す。Adult Childrenの頭文字を取り、単にACともいう。学術的な言葉ではないため、論者により定義が異なる場合がある。

日本においては、1990年代にマスコミや、精神医学、臨床心理学を知らない知識人たちにかなり誤用された(参照:誤解と誤用)ために、近年はその本来的な意味をあらわすのにアダルトサヴァイヴァー / アダルトサバイバー(Adult Survivor)が使われるようになってきている。

一般には、親による虐待や、アルコール依存症の持つ親がいる家庭や機能不全家庭で育ち、その体験が成人になっても心理的外傷として残っている人をいう。破滅的であったり、完璧主義であったり、対人関係が苦手であるといった、いくつかの特徴がある。成人後も無意識裡に実生活や人間関係の構築に、深刻な悪影響を及ぼしている場合も多いが、日本においては2009年現在、未だ一般社会による認知度は低い。

定義の変遷 [編集]

発祥 [編集]

語の発祥は「Adult Children of Alcoholicsアルコール依存症の親のもとで育ち、成人した人々)」であった。この言葉は、1970年代アメリカの社会福祉援助などケースワークの現場の人たちが、自分たちの経験から得た知識により作り出したものであり、学術的な言葉ではなかった。

発展 [編集]

その後、アメリカのソーシャルワーカークラウディア・ブラックの研究により、単にアルコール依存症のもとで育った子供だけでなく、機能不全家庭で育つ子供が特徴的な行動、思考、認知を持つと指摘された。この考えは、「Adult Children of Dysfunctional Family(子供の成育に悪影響を与える親のもとで育ち、成長してもなお精神的影響を受けつづける人々)」というものであり、現在もっとも広く支持されているアダルトチルドレンの定義となっている。

今日の用法 [編集]

また近年では、「幼少時代から親から正当な愛情を受けられず、身体的・精神・心理的虐待を受け続けて成人し、社会生活に対する違和感があったり子供時代の心的ダメージに悩み、苦しみをもつ人々」を総称して、メンタルケア心理療法)が必要な人をアダルトチルドレンと呼ぶこともある。

しかし、日本においては1990年代にマスコミなどによって誤用が進み、もはや原義を離れたところで一人歩きしてしまったために、今日では専門家のあいだではアダルトサヴァイヴァー(Adult Survivor)というケースが増えてきている。

精神疾患との関連性 [編集]

アダルトチルドレンは精神医学的な概念ではないため、診断名にならない。ただしその症状により、境界性人格障害依存性人格障害自己愛性人格障害回避性人格障害等の人格障害として診断される。

誤解と誤用 [編集]

「アダルトチルドレン」を「子供っぽい行動をする大人」「大人になりきれていない子供」といった意味で使用するのは誤用である。

Adult Childrenをしいて日本語に訳せば「大人になった子供」となるが、この場合の「子供」とは年少者(kid)の意味ではなく、親に対する子(息子、娘)の意味である。

2001年セガは大人げない性格を表現する意図で「アダルトチルドレン」と命名されたキャラクターが登場するドリームキャスト用ソフト「セガガガ」を自社の通信販売サイトで販売していたが、「日本アダルトチルドレン協会(JACA)」、「アルコール薬物問題全国市民協会(ASK)」、「アディクション問題を考える会(AKK)」が誤用を指摘。セガ側はキャラクター名の変更、通信販売サイトでの一時販売停止、一般店頭販売予定日の延期を行った[1]

主な現象と注目点 [編集]

条件付きの愛情 [編集]

本来、親は子供に無条件で愛情を注ぐものであるが、親の愛情が無条件の愛ではなく、何らかの付帯義務を負わせる「条件付きの愛」であることが問題となる。これが継続的に行使される家庭では、子供は親の愛を受けるために、常に親の意向に従わなければならず、親との関係維持のために生きるようになり、この時点で親子関係は不健全であるといえる。主に幼少期からこうした手段が用いられ始め、子供の精神を支配する手段として愛情を制限する。

この手段は子供が成人する段階になっても継続され、引き続き成人した子供(Adult Children)の精神を支配する。実はこの状況は非常に多くの家庭に存在しており、子供は常に不健全な状況にさらされている。しかし、第三者からは一見してこのような家庭は何ら問題のない普通の家庭として認識される場合が非常に多く、「条件付きの愛」はしつけや教育と称される家庭の病理性の深さを象徴する現象であり、最も基本的な精神的虐待である。しかし現実に、無条件の愛を常に実行できるかというと、これは極めて難しく、健全な家庭を目指すには「条件付きの愛」を減らし、可能な限り無条件の愛を与える方法を親自身が訓練・勉強する必要があるだろう。

虐待について [編集]

家庭内環境(家庭問題)において、身体的虐待暴力近親姦などで顕在化しやすいが、親から子への愛情の不足や心理的虐待は第三者からは非常に察知しづらい面が問題とされる。特に精神的虐待を行っている親当人は自身の子供に対する言動が、虐待であることに気づいていないケースが多い。よって肝心の幼少期・成長期に問題を発見することは非常に困難である。よって成人し自立した後、年齢を問わずACの苦しみの出現によって、精神的疾病にまで発展することもある。

精神的虐待は、しつけ虐待かの境界線が重要な注目点である。その判断は、あくまで親の処置を子供がどのように受け取っているか、という立場で点検する。特に親の側が良かれと思い対処したことが、子供にとっては強要と解釈されるケースを注目する。強要と受け取られた場合、場合によって子供の心に萎縮をまねき、結果として精神的虐待となる。この意思疎通のズレが問題とされる。

共依存 [編集]

ACの精神的虐待の象徴的特徴として、共依存co-dependency)があげられる。

典型的な例として、親が強力に子供の精神を支配する行動が、子供の方も支配されたいという特異な感情を生み出し、親も子供も支配し支配されることに奇妙な安心感を見出して、支配を通して相互依存するという現象がある。これは子供にとって支配に反抗するより支配を受け入れる方が家庭内で波風を起こさなくて済むため、平穏な環境でいるためのサバイバル手段と解釈されている。

通常、子供はある年齢に達すると親の支配から脱しようと試みるのが自然な形態であるが、この相互依存関係が強い場合親子関係は成人してもなお、支配の相互関係という不健全な状態が続く。

よりわかりやすい表現で表せば、子離れせずに子供を人生の目的とし続ける親とそれを受け入れ続けざるを得ない精神構造を埋め込まれた子供、ということになる。これがひどい場合は親が死亡するまで関係を健全化することができず、極端な例として女性の場合は母親が死ぬまでともに暮らす、つまり一生結婚の機会を奪われることもある。

ACの特徴的な心理パターン [編集]

  • 正しいと思われることにも疑いを持つ。
  • 物事を最後までやりぬくことが困難。
  • 本音を言えるような場面でをつく。習慣的にをついてしまう。
  • 自分を情け容赦なく批判する。自己処罰癖、自罰傾向がある。
  • 自分のことを深刻に考え過ぎる。
  • 様々なことをリラックスして楽しむことや遊ぶことが出来ない。
  • 他人と親密な(心の通った)関係が持てない。
  • 環境の変化に過剰反応する。
  • 常に他人から肯定され、受け入れられることを求めている。
  • 他人からの承認、賛同、称賛を必要とする。
  • 自分は他人とは違っていると感じている。
  • 過剰に責任を持ったり、逆に、過剰に無責任になったりする。
  • 従うことに価値がない場面でも、従いがちである。
  • 衝動的で、ひとつのことに閉じこもる。
  • 衝動的であるためトラブルが多い。
  • 離人感、自分が自分でなくなるような感覚。
  • 身体性が希薄。
  • 他人への依存。
  • 自立的な判断と思考の欠如・周囲の期待に合わせようとする。
  • 自分を殺して違う自分に成り代わり、期待されている自分を演技してしまう。
  • ストレートに「嫌です」が言えない。
  • 甘えと愛情、依存としがみつきの区別がつかない。
  • 妄想を持つことがある
  • 喜怒哀楽の表現が不得手で感情の波が激しい。
  • 無力感を訴え、心身症に陥りやすい。
  • 自分の判断に自信が持てない。
  • 傷つきやすく、閉じこもりがち。
  • 孤独感、自己疎外感が強い。
  • 自分にはどうにも出来ないことに過剰反応してしまう。
  • 世話やきに熱中しやすい。

ACの習慣化された思考 [編集]

  • 先取り不安と時間感覚の障害 - まだ起きていない悪い未来への不安に縛られてしまう。また「自分の将来に待っているのは悪い未来ばかり」としか思えない。
  • 見捨てられ不安 - 良い子の自分でいないと、好きな人から嫌われてしまい、愛してもらえないと思い込む。
  • マインド・リーディング(Mind Reading)- 相手の言動や表情から「自分は嫌われている」「私がこの人を不快にさせてしまった」など、悪い答えばかりを引き出してしまう読心術。
  • 承認欲求と愛されたい願望 -「認められたい」「愛されたい」という他者への過度の欲求で、自分自身を混乱させてしまう。
  • テスティング(Testing)- 相手を困らせたり不快がらせる言動をわざとして、自分への愛情度を測る「試し行動」。
  • 親密感と距離感の問題 - 他者との関係が、くっつき過ぎか離れ過ぎかのどちらかになってしまい、適度な距離感が実感できず、維持出来ない。
  • 対人恐怖 - むしろ相手との関係が親密になってゆく過程で出てくる問題で、表面的な関係では極度な対人緊張として感じる。
  • 自他境界の問題(Personal Boundary Problems)- 他者の感情や行動上の問題に、自ら巻き込まれてしまう。あるいは逆に自分の感情や行動へ相手を巻き込んでしまう。
  • 白黒思考 - オール・オア・ナッシング(All or Nothing)で、自分の中にいつも二者択一の選択肢しかない。灰色(中間)の選択肢もあると考えられない.
  • 完璧主義Perfectionism)- 白黒思考と似た考え方で、「全ての準備」 や「成功への約束」が整わないと、何もしない完璧主義者になりやすい。過剰に自責的な一方で無責任とも言える。
  • パワーゲーム思考 - 人間関係を「優・劣」「上・下」「勝ち・負け」の尺度で見てしまう。しかも多くの場合、自分が「劣」「下」「負け」側になっている。
  • 自己主張の問題 - 嫌なことを「イヤ」と相手に言えなかったり、正当な欲求や要求を「自分のわがまま」だと思い込んでしまい、言葉にして伝えることが出来ない。
  • 責任感の問題 -「この場をつまらなくさせているのは自分がいるからだ」など、過剰で不要な責任を感じてしまう反面 、果たす必要がある責任を放棄してしまう。
  • 自分の感覚や感情への不確実感 - 「好きだ」「嫌だ」と感じた自分の感覚や怒りなどの自分の感情に、「そう感じた通りで正しい」という実感が持ちにくい。
  • 怒りの感情と、その表現の仕方(伝え方)の問題
  • 淋しさの感情と、その感情とのつきあい方の問題
  • 問題自体の否認やコントロール欲求の強さ

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