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論文作成のための準備作業として,収集した情報,調査したこと,現時点における自分の考えを整理してみたことなどを断片的に記したものである。
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ACの役割 [編集]

ACは家で生き延びるための役割を背負ってしまっている。役割を背負った子供は、子供として楽しい子供時代を過ごすことは出来ず、自分の感情を押し殺し、傷ついていく。

ヒーロー(Hero)
家の問題を隠蔽するために、家の外でがむしゃらに活躍する。あるいは世間に注目されることで、両親の関係を取り持ち、家の問題を表沙汰に出来なくさせる。しかし反面、全てを犠牲にして実績を上げるために、心の温かさを育むことが出来ない。
スケープ・ゴートScapegoat
自らの生贄。家族内の感情のゴミ箱のような存在。家の問題を「全てはこの子のせい」という幻想を抱かせ、家族の真の崩壊を防いでいる。暴れたり問題を起こす役割であると同時に、ケガや病気精神病人格障害を背負うことさえも役割の一環。家庭の内外で虐待いじめのターゲットになりやすい子でもある。体を張って家庭の問題を外に出すことが最終的な役割。長男に多い。
ピエロ(Clown)
一人でふざけておどけたり、バカなことをしでかしては、関心を自分に引き寄せ、兄弟姉妹が犠牲者になるのを阻止する。
リトル・ナース(Little Nurse)
長女に多く、犠牲になった家族を守り、世話する。
イネイブラー(Enabler)
偽せ親。親の配偶者役、未熟な親に代わって兄弟の親をやってしまう子。
プラケーター(Placater)
なだめ役。小さいカウンセラー。暗い顔をして溜息をついている親(多くは母親)を慰める。末っ子に多い。
ロスト・ワン(Lost One)
いない子。家族内の人間関係を離れ、身の安全を守るため、見ざる聞かざる言わざる役に徹してしまう。
ロンリー(Lonely)
家族に理解されない悲しみを背負い、ひきこもる。
プリンス / プリンセス(Prince / -cess)
意思を無視して過剰に溺愛され、人形のように可愛がられ、甘やかされて育つ子。

ACの主なタイプの特徴 [編集]

ヒーロー
外面 - 小さな親、小さな大人、生真面目、努力家
内面 - 心の傷、不適応感、罪悪感、過剰な自尊心
言動 - 他者に自分の評価を押し付け尊敬を得ようとする
弱点 - 仕事依存、依存的な人と結婚、人を支配し操作、完全主義
長所 - 自身の失敗を許容、自己に厳しく他者に寛大、管理職の適性
スケープ・ゴート
外面 - 反抗的、陰気、反感を買う行動、張り合わない
内面 - 心の傷、見捨てられ感、怒り、拒絶、不適応感、低い自己評価
言動 - 問題を起こし注目を集める、自虐自罰行為、自暴自棄
弱点 - アルコール等依存傾向、問題児、年少妊娠や犯罪の傾向
長所 - 現実の直視、立ち直る勇気、人を助ける力
ピエロ
外面 - 過度にかわいく子供っぽい、家族の笑いと関心の対象、か弱くて保護を必要とする
内面 - 自己評価が低い、恐れ、孤独、無力感
言動 - ふざけ、ユーモア
弱点 - ひょうきん、ストレス処理が下手、いつもヒステリー寸前
長所 - 人あたりがいい、良き友人となる、頭の回転が速い、ユーモアのセンスがある、有能
ロスト・ワン
外面 - 顔を見なくても誰も気にしない、無口で陰気
内面 - 孤独、傷つき、見捨てられ、恐れ、あきらめ、挫折感
言動 - 少なくとも手がかからない、心配させないという意味では良い子
弱点 - 優柔不断、孤独、「NO」と言えない、行き当たりばったり
長所 - 自立している、才能豊かで創造的、はっきりしていて決断力に富む

学術的立場 [編集]

AC理論と精神医学界 [編集]

2009現在、全般的に日本の精神医学界ではAC理論とは距離を取っている。それは前述のACの定義から、社会でACは多数派であり、ACであっても社会生活に当面支障のない人が大半であることが理由とされている。心的苦しみが極度に進行し精神科治療が必要となった、虐待や喪失体験による心的障害だけが治療対象とされる場合が多い。したがって精神科の中にさえ「ACとは病気ではない」という見方をする医師もいる。

しかし一方では、一部にAC理論を正面から受け入れ、カウンセラーも兼任して患者と向きあい治療を行っている医師もいる。

アメリカ・イギリス・フランスなどでは、日本よりはるかに進んだ治療的取組みがなされており、またその方法論も洗練されている。

ACと精神疾患 [編集]

ACは精神疾患名ではないが、ACと称し称される人々の中には精神疾患を有している人たちがいる。

うつ病パニック障害社会不安障害全般性不安障害解離性障害などの一軸上の問題、境界性人格障害回避性人格障害反社会性人格障害演技性人格障害など二軸上の問題がそれらに当たる。

精神科治療では本来の病名と異なる「ぼんやりした病名」を患者に告げる悪しき習慣があり、自律神経失調症周期性嘔吐症慢性疲労症候群起立性低血圧などがそれにあたる。

とくに二軸上の人格障害圏の問題を抱えた人たちは「人格障害圏」であるとの告知に激しい否認・拒否を示すことがあるため、同様にぼやかした言い方として「アダルトチルドレン」や「機能不全家族」といった呼称が治療者と患者のあいだの摩擦軽減のため便宜上用いられることがある。

ACと社会問題について [編集]

現在の社会問題である、子供の不登校引きこもり家庭内暴力・若者がキレる・凶悪犯罪、などの現象はAC理論と密接に結びついているという見方が固まりつつある。これまでは、それぞれの現象は個別に研究されている傾向があったが、主としてメンタルケアを直接行っているカウンセラーなどのあいだで、児童期の養育環境・親子関係の問題として統合される過程にある。

著作活動による社会への理解 [編集]

ACに関する文献は米英国を中心にいくつか出版され、国内ではそうした文献を翻訳していく中で、アルコール依存症の患者の治療で定評のある斎藤学の著作から広まっていったが、その本来的な意味である「アルコール依存症の人を主にする、機能不全家族の中での、幼少期のストレス体験を受けて育った者」という定義から離れて、マスコミなどで恣意的な逸脱した意味で流布されるようになった。

そのため、斎藤学は自らこの語を使うことを一切やめ、彼の設立した家族機能研究所も、この言葉との関係を現在では絶っている。そのかわり専門家のあいだでは、アメリカで自然発生的に人々のあいだに広まっていった「アダルトチルドレン」の原義を引き継ぐ言葉としてアダルトサヴァイヴァー(Adult Survivor)を用いられるようになってきている。

1990年代後半に入り、不景気と就職難を背景に社会的にメンタルな病気の増大とともに、ACも再度注目をうけるようになり、斎藤学、西尾和美信田さよこ長谷川博一などの著作や、いくつかの米英国人の著作を通してアダルトチルドレンの認識が広がりつつある。

しかし、マスコミによる誤情報の流布の影響もあり、AC問題は日本の社会においては正しい認知をされているとは言いがたい。

いっぽう、医療機関に属する心理カウンセラーなどのあいだでは、すでにAC概念は常識となっており、主な受け皿となっている。またACODAなどの全国自助グループもあり全都道府県で自助活動が行われ、まだまだ表舞台にいるとは云えないが、全国のAC問題を抱える人にとって一助となっている。

ACへの批判 [編集]

AC問題は世間一般ではかなり誤解を受けており、批判も受けている。簡単な誤解としては「子どものような大人」、「大人になりきれていない未熟な人」などである。批判としては「いい年をして自分の未熟な部分を親のせいにするな」が代表的な例である(ただしこうした批判も、小此木啓吾高橋龍太郎の著作によれば、一部のAC自称者に関しては的外れではない)。

こうした誤解・批判がAC問題に悩む人にとって解決への大きな足かせとなっている。専門家側からは概念の曖昧さが指摘されたり、ACOAと非ACOAの差が見られないとする報告もなされており、日本では主に精神分析に批判的な精神科医や臨床心理士がAC概念の有用性を疑問視している。

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]

脚注 [編集]

  1. ^Game Watch ニュース 2001年5月1日

参考文献 [編集]

  • Harman, J.L.:"Trauma and Recovery", Basic Books, New York, 1992
  • Harvey, M.R.:"Memory Research and Clinical Practice - A Critique of three Paradigms and a Framework for Psychotherapy with Trauma Survivors", in 'Trauma and Memory', Thausand Oals;CL, Sage Publications, 1996
  • Trikett, P.K. & Putnam, F.W. "Developmental Consequences of Child Sexual Abuse", in 'Violence Against Children in the Family and Community', American Psychological Association, Washington D.C., 1998
  • 斎藤学『アダルトチルドレンと家族』学陽書房
  • 斎藤学『家族依存症』新潮文庫
  • 斎藤学『「家族」はこわい』新潮文庫
  • 西尾和美『アダルトチルドレンと癒し』学陽書房
  • 西尾和美『心の傷を癒すカウンセリング366日』講談社+α文庫
  • 西尾和美『機能不全家族』講談社
  • 信田さよ子『アダルトチルドレンという物語』文春文庫
  • 信田さよ子『愛情という名の支配』海竜社
  • 長谷川博一『たましいの誕生日-迷えるインナーチャイルドの生きなおしに寄り添う』日本評論社 1999年
  • 長谷川博一『あのとき、本当は……-封印された子どもたちの叫び』樹花舎 2004年
  • 東ちづる・長谷川博一『<私>はなぜカウンセリングを受けたのか―「いい人、やめた!」母と娘の挑戦』マガジンハウス 2002年
  • 赤木かん子『こころの傷を読み解くための800冊の本』自由国民社
  • 西山明『アダルト・チルドレン 自信はないけど、生きていく』三五館 1995年 ISBN 4883200663
  • 熊田一雄『“男らしさ”という病?ーポップ・カルチャーの新・男性学』風媒社
  • ハーバート・L.グラヴィッツ、ジュリー・D.ボーデン『リカバリー アルコール依存症の親を持つ成人した子供たちへの手引』星和書店 1994年 ISBN 4791102673
  • クラウディア・ブラック『子どもを生きればおとなになれる』アスク・ヒューマン・ケア
  • クラウディア・ブラック『もちきれない荷物をかかえたあなたへ』アスク・ヒューマン・ケア
  • クラウディア・ブラック『私は親のようにならない』誠信書房
  • スーザン・フォワード『毒になる親』講談社
  • マーガレット・ラインホルド『親から自分をとり戻すための本』朝日文庫
  • ジョン・ブラッドショー『インナーチャイルド-本当のあなたを取り戻す方法』日本放送出版協会
  • 外川智子・船田真帆『私は私をあきらめない』メディアート出版
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