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機会費用
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概要
機会費用は、希少性(使いたい量に対して使える量が少ないこと)によって迫られる選択に際して生じる。機会費用の概念の応用としては、比較優位があり、相手より少ない機会費用を有することを意味する。この比較優位を有する財の生産に特化すること(分業)で、全体的なアウトプットを増大させることができる。
経済学上の費用
例えば、大学進学の機会費用とは、進学せずに就学期間中働いていたら得られたと考えられる利益である。
大学進学の場合、会計上あらわれる費用は、大学進学のための学費などで、就学期間中働いていたら得られたと考えられる利益は会計学上は費用には入らない。
しかし、経済学上の費用とは、会計学上の費用に機会費用を足したものとなる。通常、経済学において、合理的な行動とは会計学上の費用ではなく、経済学上の費用にもとづいたものと考えられている。
その他の実例
たとえば、ネットワーク商法などで会員をあつめる場合、「サイドビジネスで月に何万円収入が増えるから、儲かります」という売り文句がつかわれる。しかしサイドビジネスにおいて、会計学上の収支として「儲け」がでたとしても、機会費用を考慮した経済学上の費用においても「儲け」がでるかどうかは別の問題である。
もし、経済学上の費用においては、サイドビジネスに時間がとられるのなら、その間の労働の機会費用を考慮にいれなければならない。もし、時給計算で就業可能な別のアルバイトよりも、サイドビジネスがおとっているとすれば、サイドビジネスによる収入増加は労働による機会費用をかならず下回る。
また、本業のほうで、疲労した後、時間をさくのだから、余暇は希少になり、余暇の価値はサイドビジネスをしない場合より大きくなるだろう。もし、この犠牲となる余暇の価値をこえる収入がサイドビジネスによってもたらされないのならば、サイドビジネスは経済学上の収支としては損である。
この場合、個人の選択として合理的なのは、セールストークの会計学上の費用にもとづいて行動することではなく、経済学上の費用にもとづいて行動することである。このことは、合理的な選択にあたっては機会費用を考慮に入れる必要があることを示している。
関連項目
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%9F%E4%BC%9A%E8%B2%BB%E7%94%A8埋没費用
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初期投資が大きく、他に転用ができない事業ほど埋没費用は大きくなるため、投資も新規企業の参入も慎重になる。このことにより、埋没費用の多寡が参入障壁の高さを決める要因の1つであることは寡占論の定説となっている。
これに対しウィリアム・ボーモルは1982年に、逆に埋没費用がゼロならば、競争の潜在的可能性が高いために、たとえ独占であっても参入可能性が価格を正常に維持するというコンテスタビリティ理論を提示し、1980年代以後のアメリカの航空輸送産業やトラック輸送産業における規制緩和の流れを作り出した。
例1
ある映画のチケットが1800円であるとする。しかし映画が余りにもつまらない時、1800円払った映画を見るべきか、それとも映画館を出て残りの時間を有効に使うかが問題となる。
- 映画を見るのを止めた場合:チケット代1800円は失うが、上映時間を有効に使うことができる。
- 映画を見続けた場合:チケット代1800円に加え、約2時間(上映時間)を失う。
この場合、チケット代1800円が埋没費用となる。この埋没費用は、どの選択肢を選んだとしても回収できない費用である。そこで時間を浪費してまで、つまらないと感じる映画を見続けることは合理的な選択とはいえない。残りの上映時間を有効に使うことが合理的な選択となる。
例2
ある映画のチケットが1800円であるとする。このチケットを紛失したとき、再度チケットを購入してでも映画を見るべきか否かが問題となる。まず、はじめにチケットを購入したということは、その映画を見ることが1800円の代金に値すると感じているはずである。ならば、再度チケットを購入してでも映画を見ることが経済学的には合理的な選択といえる。既に紛失してしまったチケット代は前述の埋没費用にあたるものだから、選択においてはこれを考慮に入れないことが合理的だからである。
参考文献 [編集]
- Sutton, J. Sunk Costs and Market Structure. The MIT Press, Cambridge, Massachusetts, 1991.
関連項目 [編集]
外部リンク [編集]
ネットワーク外部性
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ネットワーク外部性(ネットワークがいぶせい)とは、電話などのネットワーク型サービスにおいて、加入者数が増えれば増えるほど、1利用者の便益が増加するという現象である。利用者が増えることによって、ますます利用者が増えるという、正のフィードバックが発生する。
例えば電話網への最初の加入者の便益は明らかにゼロである。2人目の加入者には、1人目の加入者と通信ができるという便益があるため、この便益を加入に伴い費用と比較して、実際に加入するかどうかを決定することができる。しかしながら2人目の加入が1人目の加入者に与える便益は考慮されないため、ここに外部性が存在する。
同様に、3人目の加入者は、先の2人と通信できるという便益と加入の費用とを比較して、実際に加入するかどうかを決定することができる。しかしながら3人目の加入者が先の2人に与える便益は考慮されないため、ここにも同じく外部性が存在する。
ネットワーク外部性は、消費者が同種の財の消費者に与える外部経済という意味で、アメリカの経済学者、ハーヴェイ・ライベンシュタインがバンドワゴン効果と呼んだものと同じ性質を持っているといえる。ネットワーク外部性が存在する場合、新規加入者にとっての便益は既存加入者の数に依存するために、加入者数の少ない間はなかなか普及しないが、加入者数がある閾値を超えると一気に普及するといった現象が発生する。
関連項目 [編集]
日本の学校制度の変遷
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日本の学校制度の変遷(にほんのがっこうせいどのへんせん)では明治から現代の日本における学校制度のうつりかわりをまとめる(以下、戦前の教育課程はほとんど「學校」と表記するのが正しいが、漢字制限(当用漢字、常用漢字、教育漢字)により「学校」と書く)。
文部科学省ホームページ ~戦前の学校系統図表http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpbz198102/hpbz198102_2_185.html
大正~太平洋戦争初期の学制 [編集]
師範学校令(1886年)、実業学校令(1899年)、中学校令(1899年)、専門学校令(1903年)、小学校令改正(1907年)、高等学校令(1918年)、大学令(1918年)によって確立された学制が以下のものである。戦前の教育課程は、概ね以下の4段階からなる。現在の学制とは異なり複線型教育の特色がかなり強い。
- 就学前教育機関
- 初等教育機関
- 中等教育機関
- 高等教育機関
- 最高学府
就学前教育機関 [編集]
- 幼稚園 1~3年制(3歳以上)→初等教育1
初等教育機関 [編集]
- 小学校尋常科 義務教育6年制(6歳以上)→中等教育1.2.3.5.6.7.8.9:補習科2年制 /(義務教育3年制(6歳以上)→初等教育2.3)
- (東京聾唖学校 4年制(9歳以上)/[新規入学] 8年制(10歳以上)→なし)
- (東京盲学校 5年制(10歳以上)/6年制(10歳以上)→なし)
中等教育機関 [編集]
- 小学校高等科 2年制(12歳以上)→中等教育4:補習科2年制 /3年制(12歳以上)→高等教育1:補習科2年制 /[女子のみ選択可] 1年制/2年制(12歳以上)→中等教育6(1年制では2年次、2年制では3年次編入)
- 実業学校予科 2年制(12歳以上)→中等教育4
- 実業学校乙種 3年制(12歳以上)→なし
- 実業学校甲種 3年制(14歳以上)→高等教育5:研究科 年限不定(17歳以上)
- 実業補習学校 3年制(12歳以上)→なし
- 高等女学校 4年制(12歳以上)→高等教育2.3:補習科2年制(16歳以上)→専攻科 年限不定(18歳以上)/5年制(12歳以上)→高等教育2.3:補習科1年制(17歳以上)→専攻科 年限不定(18歳以上)
- 中等学校 5年制(12歳以上)→高等教育3.4.5.6.7:補習科1年制(17歳以上)
- 高等学校尋常科 4年制(12歳以上)→高等教育6
- 徒弟学校 1~4年制(12歳以上)→なし
高等教育機関 [編集]
改正高等学校令により1919(大正8)年から高等学校入学資格が中学校第4学年修了となり、場合により中学校第5学年に在籍せず16歳以上から高等学校への入学が可能となった
- 師範学校 4年制(15歳以上)→なし
- 女子高等師範学校 4年制(16歳以上)→研究科1年制/2年制(20歳以上)
- 師範学校二部 1年制/2年制(16歳以上)→専攻科1年制(18歳以上)
- 専門学校 3年制/医学科4年制(17歳以上)→研究科 年限不定(20、21歳以上)
- 大学予科 3年制(16歳以上)/2年制(17歳以上)→大学1.2.3.4.5.6.7
- 高等学校高等科 3年制(16歳以上)→大学1.2.3.4.5.6.7:専攻科1年制(19歳以上)
- 高等師範学校 4年制(17歳以上)→研究科1年制/2年制(21歳以上)
大学 [編集]
- 帝国大学 3年制/医学科4年制(19歳以上)→大学院 年限不定
- 文理大学 3年制(19歳以上)(東京.広島)
- 商科大学 3年制(19歳以上)(東京.大阪)
- 商業大学 3年制(19歳以上)(神戸)
- 工科大学 3年制(19歳以上)(旅順)
- 工業大学 3年制(19歳以上)(東京.大阪, 1933年、大阪工大は大阪帝国大学工学部に編入)
- 医科大学 4年制(19歳以上)(千葉.岡山.金沢.長崎.新潟.熊本など)
太平洋戦争末期の学制 [編集]
青年学校令改正(1939年)、国民学校令(1941年)、中等学校令(1943年)によって以下の学制が成立した。中等学校令では、中学校令、高等女学校令、実業学校令を廃止し、高等学校は2年制、中等学校は4年制に年限短縮した。概ね以下4段階である。
- 就学前教育機関
- 初等教育機関
- 中等教育機関
- 高等教育機関
- 大学/大学院
就学前教育機関 [編集]
- 幼稚園 1~3年制(3歳以上)→初等教育1
初等教育機関 [編集]
- 国民学校初等科 義務教育6年制(6歳以上)→中等教育1.2.3.8.9.10
- (聾唖/盲学校初等部 6年制(6歳以上)→中等教育11)
中等教育機関 [編集]
- 国民学校高等科 2年制(12歳以上)→中等教育4.5.6.7.[女子のみ選択可]中等教育8(2年次編入)
- 実業学校 4年制(12歳以上)→専攻科1年制/2年制(16歳以上)[国民学校高等科からの進学](男子)3年制/(女子)2年制(14歳以上)
- 青年学校普通科 2年制(12歳以上)→中等教育4.5
- 青年学校(男子) 5年制(14歳以上)→高等教育:研究科 年限不定(19歳~)
- 青年学校(女子) 3年制(14歳以上)→高等教育:研究科 年限不定(17歳~)
- 青年師範学校予科 2年制(14歳以上)→高等教育1
- 師範学校予科 2年制(14歳以上)→高等教育2
- 高等女学校 4年制(12歳以上)→高等教育2.3:専攻科(16歳以上。2年制/3年制):高等科(16歳以上。2年制)
- 中等学校 4年制(12歳以上)→高等教育1.2.4.5.6.7:実務科1年制(16歳以上)
- 高等学校尋常科 4年制(12歳以上)→高等教育7
- (聾唖/盲学校中等部 4年制/5年制(12歳以上)→なし)
高等教育機関 [編集]
- 青年師範学校 3年制(16歳以上)→研究科1年制(19歳以上)
- 師範学校 3年制(16歳以上)→研究科1年制(19歳以上)
- 女子高等師範学校 4年制(16歳以上)→研究科 年限不定(20歳以上)
- 高等師範学校 4年制(16歳以上)→研究科 年限不定(20歳以上)
- 専門学校 3年制/医学科4年制(16歳以上)→研究科 年限不定(19歳以上)
- 大学予科 2年制(16歳以上)→大学1.2.3.4.5.6.7
- 高等学校高等科 2年制(16歳以上)→大学1.2.3.4.5.6.7
大学 [編集]
- 帝国大学 3年制/医学科4年制(18歳以上)→大学院 年限不定
- 文理大学 3年制(18歳以上)(東京.広島)
- 商科大学 3年制(18歳以上)(東京.大阪, 1944年、東京商大は東京産業大学に改称)
- 商業大学 3年制(18歳以上)(神戸, 1944年、神戸商大は神戸経済大学に改称)
- 工科大学 3年制(18歳以上)(旅順)
- 工業大学 3年制(18歳以上)(東京)
- 医科大学 4年制(18歳以上)(千葉.岡山.金沢.長崎.新潟.熊本など)
学校教育法制定当初の学制 [編集]
教育基本法(1947年)、学校教育法(1947年)、国立学校設置法(1949年)によって、既存の高等教育機関及び、帝国大学を併合して各地に新制国立大学が作られた。中等教育機関は新制高等学校へと昇格した。6・3・3・4制がとられ義務教育の範囲が中学校にまで拡充され、強力な単線型教育に改められた。
戦後の教育課程は、概ね以下の6段階からなる。
- 就学前教育機関
- 初等教育機関
- 前期中等教育機関
- 後期中等教育機関
- 高等教育
- 大学院
就学前教育機関 [編集]
- 幼稚園 1~3年制(3歳以上)→初等教育1
- (盲/聾/養護学校の幼稚部 1~3年制(3歳以上)→初等教育2)
初等教育機関 [編集]
- 小学校 義務教育6年制(6歳以上)→前期中等教育1
- (盲/聾/養護学校の小学部 6年制(6歳以上)→前期中等教育2)
前期中等教育機関 [編集]
- 中学校 義務教育3年制(12歳以上)→後期中等教育1.入学資格不定1
- (盲/聾/養護学校の中学部 3年制(12歳以上)→後期中等教育2)
後期中等教育機関 [編集]
- 高等学校 (通常制課程)3年制(15歳以上)→高等教育1.2:専攻科 年限不定(18歳以上)(定時制課程)4年制(15歳以上)→高等教育1.2:専攻科 年限不定(19歳以上)
- (盲/聾/養護学校の高等部 3年制(15歳以上)→なし)
高等教育機関 [編集]
- 大学 4年制/6年制(18歳以上)→大学院1/専攻科 年限不定
- 短期大学 2年制/3年制(18歳以上)→高等教育1/専攻科 年限不定
大学院 [編集]
- 大学院の修士課程 2年制(22歳以上)→大学院2【修士】
- 大学院の博士課程 3年制(24歳以上)【博士】
入学資格不定 [編集]
入学資格は、各校が定める。
- 各種学校 3ヶ月以上
関連項目 [編集]
旧制学校 [編集]
外部リンク [編集]
ディプロマミル
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ディプロマミル(英:diploma mill、証書工場の意)あるいはディグリーミル(英:degree mill、学位工場の意)とは、実際に就学せずとも金銭と引き換えに高等教育の「学位」を授与する(と称する)機関・組織・団体のことであり、その活動は学位商法とも呼ばれる。転じて、アメリカのスラングで、入学卒業が非常に容易な大学を皮肉をこめてこう呼ぶ。なお、このような転用がみられるのは、アメリカの大学では、入学は容易だが卒業認定は厳格なのが普通であるためである(怠けていると修業年限超過により退学もある)。
最近では社会問題になるほど認知され、これらの機関・組織・団体の社会的影響と大学のあり方が、教育学者や社会学者による研究テーマとなっている。
概要 [編集]
ディプロマミルは、公式の認定団体から認定されていないところがほとんどであり、学歴詐称まがいの行為を誘発するものとしてアメリカでは大きな社会問題となっている。なお、現時点では日本国内ではこれらディプロマミルが授与した「学位」は正式なものとしては見なされない傾向にある。
「公式ウェブサイト」を持つところもあるが、教育機関とは認められていないため、トップレベルドメインが.eduではなく.orgや.netになっているのが特徴(多くが“アメリカ所在”を自称する)。
ディプロマミルから「学位」を「授与」される人物は、肩書きに箔を付けようとする新興宗教の教祖や、「天才」を自称する“街の発明家”のような人物、疑似科学者、あるいは商取引上権威があるように見られたいビジネス関係者などが多いとされるが、まれには正当な経歴・実績をもつ学術研究者や大学教授なども存在する。これら「学位」は本人が金銭で買ったものであると自覚している者もあれば、本当に正規の「学位」を授与されたと信じている者もあり、悪意を持って学位を詐称しているのかそうでないのかの見分けが難しい場合がある。
最近ではアメリカで、猫に学位を認定したオンライン大学が報じられた。
日本におけるディプロマミル [編集]
定義 [編集]
ディプロマミルは国内でも問題視されており、文部科学省は「国際的な大学の質保証に関する調査研究協力者会議」(第3回、2003年11月28日)でこの問題を取り扱っている。この会議の国際的な大学の質保証作業部会では米国CHEA(Commission for Higher Education Accreditation、高等教育保証委員会)のディプロマミルの指標を引用しており、その指標は、以下のとおりである。
- 学位が金で買える
- その証拠がないのにアクレディテーションを受けているような言及がある
- 怪しげなアクレディテーション団体から認定を受けているような言及がある
- 連邦や州の設置許可を受けていない
- 学生の出席要件が(あれば)小さい/学生の単位取得要件となる課業量が少ない
- 学位取得までの期間が短すぎる
- 経験や履歴書だけで学位が取れる/逆に正統な教育を行うにしては経費が安い
- キャンパスないし事務所の住所が示されていない=私書箱しかない
- 教員の名前や肩書きが公表されていない
- 有名大学と似た名前がついている
- その証拠がないのに出版物があるような言及がある
この作業部会では、高等教育の品質維持及び消費者保護の観点から対策が必要であると結論付けており、その対策として、各国の大学等の位置付けやその学位等の国際的通用性に関する、大学、学習者、雇用主等社会一般が活用できる信頼性の高い情報の収集・提供のための国際的なネットワークを整備することが必要であるとしてる。
現状 [編集]
文部科学省は2007年7月に、ディプロマミルと疑われる博士号を国内または海外で取得して、その学位で日本国内で大学教員の採用などに悪用されている実態を把握するために、国公私立大を対象に全国調査に乗り出した。その後日本で2004~2006年度で全国4大学に4人、「真正な学位と紛らわしい呼称」によって採用・昇進した教員がいたことを2007年12月27日発表した[1]。また同調査結果によると、そうした呼称が大学の冊子やホームページで表示されていた事例が、大学は42校43人、短大は4校5人、総計46校で48人の大学教員についてあったことが明らかになった。
なお、この調査では2004年度-2006年度に採用・昇進した教員のみを調査対象としているが、ディプロマミルを研究する小島茂によれば、日本国内の大学・短大の全教員のうち出所が疑わしい学位を元に採用された者は数十人にのぼると指摘している[2]。
背景 [編集]
アメリカのディプロマミルの存在は数十年前から知られていたが、日本では大学のブランドを重視するため、アメリカの無名の大学の学位を貰ったところで使い道が無く、日本人研究者や大学教官・教員が利用することは稀だった。それが昨今話題となるのは、大学院が増加していることに関連がある。原則として、博士課程を担当する教官・教員は博士号を持つことが条件とされる(Dマル合など)。しかし、中には過去に博士課程が存在しなかった分野もあり、中堅の教官・教員で研究実績があっても、博士号を持たない者も少なからず存在する。このような教官・教員に対しては、大学側から博士号を取得するように要請するケースもあり、事実、出身大学で論文博士を取得する例も見られる。また日本人には、日本の博士号より海外の博士号を格上と見なす者もとくに一般社会には多い。これらの状況も、昨今のディプロマミル問題の背景のひとつと考えられる。また国内の大学院はすべて文科省の認可を受けているとはいえ、将来一部の新興の大学院が安易に論文博士を濫発するようになれば、学位の質の低下を招き、実質ディプロマミル化していく懸念もある。
日本における法的問題 [編集]
ディプロマミルの発行した学位を使用していた場合、軽犯罪法第1条15項(称号詐称の罪)で処罰される可能性が弁護士によって指摘されている[3]。
また、学校教育法は第135条で、文部科学省若しくは地方公共団体の認可を受けていない機関や各種学校が第1条に定義する学校や大学院を名乗る事を禁止しており、設置者が日本人で日本国内にある機関の場合、この規定に抵触する疑いがある。その場合同法第146条では10万円以下の罰金を科すと規定されている。
関連項目 [編集]
- ディプロマ
- 高等教育
- 教育社会学
- 認定校制度
- 大学一覧#非認定大学
- 学歴詐称
- 悪徳商法
- 小島茂 - ディプロマミル問題の研究者
- 大槻義彦 - ディプロマミルから「学位」を取得する研究者を痛烈に批判。
- 外国大学の日本校
- 特許大学
- 池田大作
脚注 [編集]
- ^ http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/12/08010803/001.htm 真正な学位と紛らわしい呼称等についての大学における状況に係る実態調査について 集計結果
- ^ 「ニセ学位で採用・昇進――文科省調べ全国4大学で4教員」『朝日新聞』43715号、朝日新聞東京本社、2007年12月28日、30面。
- ^ イオンド大学の学位商法山口貴士のブログ「弁護士山口貴士大いに語る」内
外部リンク [編集]
- オレゴン州非認定大学リスト
- メイン州非認定大学リスト
- ミシガン州非認定大学リスト
- テキサス州非認定大学リスト
- ウィキペディア非認定大学リスト
- 国際的な大学の質保証に関する調査研究協力者会議(第3回)-配布資料3:「ディプロマ(ディグリー)・ミル」問題について(文部科学省)
- 以下、小島茂・静岡県立大学教授による
- 「米国大学(院)学位商法」の危険性 - JANJAN掲載の記事
- Local10.com:Online University That Gave Cat Diploma Sued For Fraud - 猫に卒業証書を与えた大学が訴えられる
- 大学一覧 - 健康本の世界
- ニセ学位問題――米政府職員に大量の該当者 - Hotwired Japan
- 学位商法にだまされないために