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社会恐怖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
概要 [編集]
人から注目を集める場面において、誰しも不安を感じる事があり、それをあがり症と呼んだり、特にあがりやすい人をシャイと呼んだりする。しかし、それが原因で日常生活に支障をきたすような事はなく、通常はそういった場面に慣れるうちにあがりにくくなるものであり、身体的な症状はあまり発現しない。
これに対して社会恐怖は非常に強い不安を感じるあまり、震え・吐き気などの身体症状が強く発現し、そういった場面にはなかなか慣れないため、たとえしなければならない事であっても次第に避けるようになり、日常生活に多大な影響を及ぼす点が異なる。ニートや引きこもりの背景因子にあるといわれ、近年注目されている。
主な症状 [編集]
SAD患者が恐怖を感じる場面として、最も多いのが『見知らぬ人や、少し顔見知りの人との会話』と『人前での発言・スピーチ』、次いで、『権威がある人(社会的立場が上の人)との面談・会話』、『会社で電話をとる』、『受付で手続きをする』、『人前で文字を書く』、『人前でご飯を食べる』、『会食やパーティに参加する』などである。
このような場面でSAD患者には、さまざまな症状が身体に現れる。強い不安や緊張・恐怖を感じる、頭が真っ白になり何も答えられない、声が震える、声が出ない(選択緘黙)、手足の震え、めまい、動悸、口が渇く、赤面する、汗が出る、吐き気がする、胃のむかつき等の症状がある。
こうした不安症状を避けるため、また人に知られたくないと考えるあまり、SAD患者は周囲の人々との接触や、人前での活動を避けるようになり、日常生活に支障を及ぼす事になる。また、症状が慢性化すると、うつ病やパニック障害なども併発する危険性があるので、早期の治療を要する。
『自殺を考えたことがある』人の割合はうつ病の人よりも多く、実際周囲の人が思っている以上に患者達は悩んでいるといわれる。
恐怖症の中では最も一般的で、生涯有病率は3 - 13%と言われており決して稀な病気ではない。5歳以下など世代を問わず発症するが、特に15歳頃の思春期に多く、不安障害の中で最も発病年齢の低い病気と言われている。しかし、30 - 40代あたりに管理職につき、人前で話す機会が多くなり発症するといったケースもめずらしくない。頻度に特筆すべき男女差はないが、若干男性の割合が多い。
なお、症状はパニック障害と似ているが、パニック障害が死に対する恐怖であり場所や時間を問わず発作的に症状が発現するのに対し、社会恐怖では人や社会に対する恐怖であり特定の場面で症状が発現するところなどが異なっている。
診断基準 [編集]
DSMをもとに作成された簡易構造化面接法(M.I.N.I.)によれば、以下のすべての項目に当てはまる場合、社会不安障害の可能性がある[1]。
- 人前で、話をしたり食事をしたり文字を書いたりするときに他人から注目されていると思うと、怖くなったり戸惑ったりする
- それは、自分でも怖がりすぎていると思う
- それは、わざわざ避けたり、じっと我慢したりしなければならないほどである
- それによって職業・社会生活が妨げられているか、または著しい苦痛を感じている
治療 [編集]
社会恐怖は単なる内気や恥ずかしがり屋といった性格の問題ではなく、精神科などの医療機関での治療を必要とする精神疾患である。
治療としては、精神科において薬物療法および精神療法を併用又はどちらか単独で行われる。薬物療法ではSSRIを使った治療が効果的であるといわれている。精神療法では認知行動療法などが有効でSSRIと同等の効果があるといわれているが、臨床では効果が認められないこともままあるので注意が必要。
関連項目 [編集]
- 対人恐怖症
- 場面緘黙症
- 回避性人格障害
- 広場恐怖
- 神経症
- 不安障害
- パニック障害
- 季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder) - 社会恐怖とは別の精神疾患だが、その頭文字を取り、同じくSADと呼ばれる。
脚注 [編集]
- ^ Sheehan D.V. et al, "The Mini International Neuropsychiatric Interview (M.I.N.I.): The Development and Validation of a Structured Diagnostic Psychiatric Interview," Journal of Clinical Psychiatry, 1998;59(suppl 20):22-33. 表現は簡略化してある。
外部リンク [編集]
- 社会不安障害総合情報サイト・SAD NET
- (百科事典)「Social Phobia」 - Medpediaにある「社会恐怖」についての項目。(英語)
回避性人格障害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
回避性人格障害または回避性パーソナリティ障害(Avoidant Personality Disorder; 以下APDと呼ぶ)[1]、別名“不安人格障害”(Anxious Personality Disorder)[2]は、広汎にわたる「社会的な活動の抑制」「“自分なんかふさわしくない”という感覚」「否定的な評価に対する過敏さ」「社会的な交流の回避」などのパターンによって特徴づけられる、人格障害の一種である。
APDをもつ人は、自分は社会的に不適格で魅力に欠けていると考え、笑われること、恥をかくこと、排除されること、嫌われることを怖がり、そのために、社会的な交流を避けようとする傾向をもつ。自分は孤独者(loner)であるとし、社会から取り残されている感覚を訴えるのが典型である。
通常、成人期早期に自覚され、子どもの頃に親や友人から排除された(と本人が感じた)ことと結びつけて考えられている。排除されたと感じたことが「APD特有の“人間関係の気にしすぎ”のせい」であるのか(または客観的に排除が存在したのか)については、定説には至っていない。
診断基準 (DSM-IV-TR) [編集]
アメリカ精神医学会のDSM-IV-TRでは、次のように定義している。
成人期早期までに始まり、多様な場面で表れる、広汎にわたる「社会的な活動の抑制(social inhibition)」「“自分なんかふさわしくない”という感覚(feelings of inadequacy)」「否定的な評価に対する過敏さ(hypersensitivity to negative evaluation)」のパターンで、以下のうち4つ以上で現わされるもの。
- 非難、反対意見、排除を怖れるあまり、人との接触の多い職業活動を避けようとする
- 自分が好かれていると確信しないかぎり、人との交流をもとうとしない
- 自尊感情(feelings of self-worth)が非常に低く、恥をかいたり、笑われたり、排除されたりすることを怖れるあまり、親密な関係づくり(initiating intimate relationships)を控えようとする
- 社会的状況のもとでは、「非難されはしないか」「排除されはしないか」という心配にいつも心を奪われている
- 「自分なんかは(相手に)ふさわしくない」との思いから、人との出会い(new interpersonal situations)においても交流を控えてしまう
- 自分は社会人として不適格(socially inept)である、魅力に欠ける人間である、他の人よりも劣っている、などと考えている
- 新しく何かを始めることは「恥ずかしい(embarrassing)思いをしてしまうかもしれない」ので、そのようなリスクを取ることを極端に嫌がる
他の精神疾患との関連 [編集]
研究の示唆するところによれば、社会的な交流の場面において、APDをもつ人々は、社会恐怖をもつ人々と同様に、自分自身の内面的な反応を極度に気にする傾向がある。しかし同時に、彼らは相手の反応をも極度に気にしており、これは社会恐怖の人々とは異なる点である。 こうした「気にしすぎによる極度の緊張」という観点から、多くのAPD患者に見られる「話しぎらい」や「無口」を説明することもできるかもしれない。つまり、自分自身と他者とを気にしすぎ、そこに心が奪われてしまっているため、流暢に話すことが難しくなっている、と考えられるのである。
数字的評価は各種の診断方法により大きく異なるとはいえ、一般に、APDはとくに不安障害をもつ人々に多いことが報告されている。 パニック障害と広場恐怖症とをもつ人のおおむね10-50%、また、社会恐怖(社会不安障害)をもつ人のおおよそ20-40%が、APDをもっているとされる。 全般性不安障害をもつ人のうち最大45%、また、強迫性障害をもつ人の最大56%の人がAPDをもっている、との報告もある。[3] DSM-IVでは触れられていないが、以前には、境界性人格障害とAPDとの複合的な特徴をもつ“回避性・境界性混合障害”(avoidant-borderline mixed personality; APD/BPD)が提唱されたこともあった。[4]
原因 [編集]
APDの原因は明らかになってはいないが、社会的、遺伝的、心理学的な要因が複合的に影響している可能性が考えられる。また、遺伝的な気質要因に関連している可能性が考えられる。 とくに、小児期・青春期におけるさまざまな不安障害の存在が、「引っ込み思案」や「臆病」や「新しいことに対して尻込みする」などの特徴をもつ気質と関連づけて考えられている。[5]
APDと診断された人の多くが、幼い/若い頃に、長期にわたって親からの非難や排除を受けつづけた辛い経験をもっている。排除的な親と繋がりたいという一心から、彼らは関係性を渇望するが、繰り返し非難を受けるうちにやがて、彼らの願いは徐々に「防衛的な殻」へと変質してゆくのである。 [6]
症状 [編集]
APDの患者は自分の欠点にばかり注目しており、「自分が排除されることは決してない」と思えたときだけにしか人間関係をもとうとしない。 喪失や排除の体験は彼らにとってあまりにも辛すぎるため、人と繋がるようなリスクを冒すよりは、むしろ孤独を選ぼうとするのである。
- 非難や排除に対する過敏さ
- 自らすすんで社会的孤立を選んでいる
- 親密な人間関係を熱望していながら、そのいっぽうで、社会的な場面においてはあまりにも引っ込み思案である
- 他者との交流を避けようとする
- 「自分なんかふさわしくない」という感覚
- 自尊感情(self-esteem)の低さ
- 他者への不信
- 極度の引っ込み思案(shyness)、臆病
- 親密さを求められる場面でも情緒的な距離を置いてしまう
- 非常に自己意識的(=いわゆる自意識過剰)
- 自分の対人関係の問題について自分を責めている
- 職能上に問題を生じている
- 孤独なる自己認識
- 自分は人より劣っていると感じている
- 長期にわたる物質依存/乱用[7]
- Investment in fixed fantasies
治療 [編集]
治療には、ソーシャルスキルトレーニング、認知療法、少しずつ社会的な接触を増やしていく曝露療法、ソーシャルスキルの実践のためのグループ療法、ときには薬物療法など、さまざまな技法が用いられる。[8]
APD患者がセラピストを信頼できなくなったり、排除への怖れを抱いてしまった場合、治療のためのセッションから逃げてしまうことが多い。このため、患者の信頼を獲得し、維持することが、治療の最大の鍵である。 個人面接型のセラピーにも、ソーシャルスキル・グループ療法にも言えることだが、治療の主たる目的は、患者が自分自身の「大げさなまでに否定的な自己像」(exaggeratedly negative beliefs about the self)に取り組むようになってもらうことであると言える。[9]
関連項目 [編集]
脚注 [編集]
- ^ Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders
- ^ International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems
- ^ Van Velzen, 2002
- ^ Kantor, 1993, p.4
- ^ "Avoidant Personality Disorder Causes, Frequency, Siblings and Mortality - Morbidity". Avoidant Personality Disorder. Armenian Medical Network (2006). 2007-02-26 閲覧。
- ^ "Avoidant Personality Disorder". Avoidant Personality Disorder. Healthline Networks (2003). 2006-02-26 閲覧。
- ^ "Avoidant personality disorder". Avoidant personality disorder. Gordon College - Barnesville, GA (2003). 2006-02-26 閲覧。
- ^ Comer, 1996
- ^ Eckleberry, 2000
参考文献 [編集]
- Comer, R. J. (1996). Fundamentals of abnormal psychology. Avoidant personality disorder, pp.428-430. Third edition. New York: Worth.
- Eckleberry, Sharon C. (2000-03-25). "Dual Diagnosis and the Avoidant Personality Disorder". The Dual Diagnosis Pages: From Our Desk. 2007-02-06 閲覧。
- Kantor, M. (1993, revised 2003). Distancing: A guide to avoidance and avoidant personality disorder. Westport, Conn: Praeger Publishers.
- Rettew, D.C. (2006). "Avoidant Personality Disorder: Boundaries of a Diagnosis", Psychiatric Times, July 1, 2006
- Van Velzen, C. J. M. (2002). Social phobia and personality disorders: Comorbidity and treatment issues. Groningen: University Library Groningen. (online version
外部リンク [編集]
統合失調質人格障害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
統合失調質人格障害(とうごうしっちょうしつじんかくしょうがい)またはスキゾイド型人格障害(スキゾイドがたじんかくしょうがい、Schizoid personality disorder, SPD, 稀にジゾイド型人格障害)とは、DSMの人格障害のなかで、大きな区分である「クラスター A」に属する一型である。社会的関係への関心のなさ、孤独を選ぶ傾向、そして感情的な平板さを特徴とする。
この人格障害は、他のものに比べてかなり稀な型だと言える。一般人の間での罹患率は、1%に満たないと見積もられている。
2002年までは分裂病質人格障害と呼ばれていた。
診断 [編集]
ICD-10では、統合失調質(スキゾイド型)人格障害は次の診断基準のうちの少なくとも3つ以上を満たすことで診断される。
- 情緒的な冷たさ、超然とした態度あるいは平板な感情
- 積極的なものであれ消極的なものであれ、感情というものを他人に伝える能力が限定されている
- 一貫して孤立した行動を好む
- 親しい友人や恋人が(もしいたとしても)ほとんどおらず、そういった関係を望まない
- 賞賛にも批判に対しても無関心
- 喜びを感じられる活動が、もしあったとしても、少ししかない
- 社会規範や慣習への無関心
- 空想や内省への没入
- 他人と性的関係を持つことへの欲望の欠如
特徴 [編集]
この障害の特徴は自己表現力の欠如である。特に、田舎から都会へ出てきたばかりの人物に発症しやすいとされている。田舎の、特にムラ社会が色濃く残っている地域では、自由やプライバシーが保障されない代わりに「自分は自分の人生をどうしたい」などの意思表示を求められることも少ない。こうした文化の中で生まれ育った人が都会において急に「自己表現」を求められてパニックに陥り、それを求められるような社交的な場を避け、引きこもりに近い精神状態に陥ってしまうものと考えられる。 一方で都会育ちの人間においても、古くは書籍に始まり、マンガ、テレビ、インターネットなど、他人と関わることなく独りで没入できる場が増えるに従い、本症の特徴を具えた性格の持ち主も増える傾向にある。
動物や幼児を手懐けることには長けていることがある。[1] 自分の意志を言語化する能力に劣っている代わりに、非言語的コミュニケーションに秀でているためという解釈も出来る。
症状が似ている広汎性発達障害との鑑別に苦慮することもある。
参考文献 [編集]
- ^ 『臨床精神医学テキスト』カプラン
偏執病
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
偏執病(へんしゅうびょう、パラノイア; 英:paranoia)は、精神病の一種で、体系だった妄想を抱くものを指す。自らを特殊な人間であると信じるとか、隣人に攻撃を受けている、などといった異常な妄想に囚われるが、強い妄想を抱いている、という点以外では人格的に常人と大して変わらない点が特徴。
これが日常生活に支障をきたすレベルに達したものが、妄想性人格障害(paranoid personality disorder)とされる。
症状 [編集]
- 被害妄想 - 挫折・侮辱・拒絶などへの過剰反応、他人への根強い猜疑心(さいぎしん)。
- 誇大妄想 - 数を誇大に示したり、大げさな表現を好むなど。
- 激しい攻撃性 - 誹謗中傷など。
- 自己中心的性格。
- 異常な独占欲。
関連項目 [編集]
妄想性人格障害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
妄想性人格障害(もうそうせいじんかくしょうがい; 英:Paranoid personality disorder)とは、精神科医において、偏執病(パラノイア; 英:Paranoia)的特徴を伴う人格障害と診断されるものである。
この症状は、拒絶・憤慨・不信に対して過剰な感受性を示すとともに、経験した物事を歪曲して受け止める傾向に特徴がある。普通で友好的な他人の行動であっても、しばしば敵対的や軽蔑的なものと誤って解釈されてしまう。
本人の権利が理解されていないという信念に加えて、パートナーの貞操や貞節に関する根拠の無い疑いであっても、頑固に理屈っぽく執着する。そのような人物は、過剰な自信や自己指示を誇大にする傾向がある。
なお、この文脈で『偏執病』(パラノイア)という用語が意味するのは単なる妄想や精神病の存在ではなく、人々に対する猜疑心や不信が理由もなく進行中であることを意味している。
他人の目的が悪意に満ちているという不信や猜疑心は、後述のような4つ以上の兆候として成人直後に始まり現在まで引き続いて現れてくる:
- 猜疑心:十分な根拠も無く、他人が自分を不当に扱っている・傷つけている・だましていると疑う
- 友人や仲間の貞節や信頼性に対し、不当な疑いを持ち続ける
- 情報が自分に不利なように用いられる、という根拠の無い恐怖のために、他人を信頼するのに躊躇する
- 善意からの発言や行動に対し、自分を卑しめたり恐怖に陥れるような意味あいがないか探る
- 執拗に恨みを持つ:自分が受けた無礼、負傷、侮辱などを許さない
- 自分の性格や世間体が他人に伝わっていないことに攻撃性を察知して、すぐに怒って反応したり反撃する
- 配偶者や異性のパートナーの貞操に対し、正当な理由もなく、繰り返し疑いを持つ
除外される状況としては、
がある。