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アレロパシー(Allelopathy)とは、ある植物が他の植物の生長を抑える物質(アレロケミカル)を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだり、あるいは引き寄せたりする効果の総称。邦訳では「他感作用」という。ギリシャ語のallelon(互いに)とpathos(一方が他に障害を与える)を合成した合成語である。1937年にドイツの植物学者・ハンス・モーリッシュにより提唱された。
アレロパシーを有する植物 [編集]
- セイタカアワダチソウ:根からシス・デヒドロ・マトリカリア・エステルを出す
- クルミ:葉からユグロンを出す
- サクラ:葉からクマリンを出す
- マツ
- ソバ
- ヨモギ
- ハリエンジュ(ニセアカシア)
- アスパラガス
- ヒガンバナ
- キレハイヌガラシ
アレロパシーは、連作障害の原因の一つと考えられている。また、特定の植物により雑草や害虫を防除する生物農薬としての利用が注目されている。
関連資料 [編集]
- 『アレロパシー―多感物質の作用と利用』(藤井義晴、農山漁村文化協会、2000年 ISBN 4540922254)
- 『化学で勝負する生物たち―アレロパシーの世界〈1〉』(今村寿明、裳華房、1994年 ISBN 478538591X)
- 『化学で勝負する生物たち―アレロパシーの世界〈2〉』(今村寿明、裳華房、1994年 ISBN 4785385928)
関連項目 [編集]
外部リンク [編集]
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アレロパシーとはある植物が他の植物の生長を抑制する物質を出して自分を守ることをいいます。広義には、植物に寄生する微生物などが有害物質を放出して、植物を守ることも含まれます。例えば、ナスの下には特定の植物しか生えない、クルミの木の下には他の木や草が生えない、ユーカリの木の下には何も生えないなどがよく知られていますが、これらは植物が生産する有害物質が主な原因です。
空き地に最初に侵入するのはブタクサで、有害物質を出して周りの草の生長を抑えます。翌年春にはヒメジョオンやハルジョオンが、夏にはアレチノギクやヒメムカシヨモギがまた別の有害物質を出してこれらを駆逐します。さらにその翌年にはセイタカアワダチソウが有害物質で先住の植物を追い出して、以後しばらくセイタカアワダチソウの天下が続きます。しかし、セイタカアワダチソウは自分の有害物質で自家中毒を起こして衰退し、イネ科のススキやチガヤあるいはマメ科のクズにとって代わります。
ヤグルマギクの1種(Centaurea maculosa、キク科)はもともとヨーロッパ種ですが、これを米国西部に導入したら、北米の野生種を追い出して、これに置き換わってしまっていました。この原因は C. maculosaが毒素カテキンを生産し、北米に土着の野生種の発芽や生長を抑えるためであることが明らかになりました。ヨーロッパ種は、C. maculosaを含めて、カテキンには抵抗性で、この植物の周りの土壌に蓄積したカテキンの量では全く影響を受けません。しかし、在来種の C. diffusaはカテキンに感受性で、カテキンにより反応性の高い活性酸素が発生し、これによりCaイオン関与のシグナル伝達が起こり、遺伝子発現に変化を生じて細胞が死ぬことが明らかにされています。
外来種が在来種を追いやるのは主に繁殖力の違いにあると考えられてきました。したがって、植物が化学的な作用によってお互いに干渉しあうという考え方は従来は受け入れらませんでした。毒物を供給する側の植物は、この毒物を受ける側の植物の周囲にその毒物を運ばなければなりません。作る側の植物の周りの毒物量は受ける側の植物の周りよりも高いはずです。ということは、作る側の植物はこの毒物に対して抵抗性になるように進化してきたに違いありません。しかし、受ける側の植物にも抵抗性を高めるような淘汰圧がかかります。したがって、植物が共存すればその植物種はお互いの毒素に抵抗性を進化させていかなければなりません。しかし、共存しない場合は、お互いの毒物に対して感受性が異なっても不思議はないと考えられます。従って、アレロパシーも外来種が蔓延する原因の1つと考えられるようになりました。
ホウセンカの1種(Impatiens glandulifera)は、英国では、最も侵略性の強いものの一つですが、この近縁種であるキツリフネ(Impatiens noli-me-tangere)は数が少なく、絶滅危惧種です。これも化学物質に対する抵抗性の違いによるものと考えられます。
また、ヤグルマギクC. maculosaの在来生息地にいる土壌微生物は雑草の生長を抑制する効果が高く、侵略地である北米の土壌微生物は、C. maculosa自身の生長を高める作用が強いことが示されています。これらのことから、この外来種の侵略を北米で成功させた理由は、化学物質だけではなく、根圏の微生物相の違いも影響していると考えられています。
http://www.geocities.jp/doctor_mitsui/plant_3.html
空き地に最初に侵入するのはブタクサで、有害物質を出して周りの草の生長を抑えます。翌年春にはヒメジョオンやハルジョオンが、夏にはアレチノギクやヒメムカシヨモギがまた別の有害物質を出してこれらを駆逐します。さらにその翌年にはセイタカアワダチソウが有害物質で先住の植物を追い出して、以後しばらくセイタカアワダチソウの天下が続きます。しかし、セイタカアワダチソウは自分の有害物質で自家中毒を起こして衰退し、イネ科のススキやチガヤあるいはマメ科のクズにとって代わります。
ヤグルマギクの1種(Centaurea maculosa、キク科)はもともとヨーロッパ種ですが、これを米国西部に導入したら、北米の野生種を追い出して、これに置き換わってしまっていました。この原因は C. maculosaが毒素カテキンを生産し、北米に土着の野生種の発芽や生長を抑えるためであることが明らかになりました。ヨーロッパ種は、C. maculosaを含めて、カテキンには抵抗性で、この植物の周りの土壌に蓄積したカテキンの量では全く影響を受けません。しかし、在来種の C. diffusaはカテキンに感受性で、カテキンにより反応性の高い活性酸素が発生し、これによりCaイオン関与のシグナル伝達が起こり、遺伝子発現に変化を生じて細胞が死ぬことが明らかにされています。
外来種が在来種を追いやるのは主に繁殖力の違いにあると考えられてきました。したがって、植物が化学的な作用によってお互いに干渉しあうという考え方は従来は受け入れらませんでした。毒物を供給する側の植物は、この毒物を受ける側の植物の周囲にその毒物を運ばなければなりません。作る側の植物の周りの毒物量は受ける側の植物の周りよりも高いはずです。ということは、作る側の植物はこの毒物に対して抵抗性になるように進化してきたに違いありません。しかし、受ける側の植物にも抵抗性を高めるような淘汰圧がかかります。したがって、植物が共存すればその植物種はお互いの毒素に抵抗性を進化させていかなければなりません。しかし、共存しない場合は、お互いの毒物に対して感受性が異なっても不思議はないと考えられます。従って、アレロパシーも外来種が蔓延する原因の1つと考えられるようになりました。
ホウセンカの1種(Impatiens glandulifera)は、英国では、最も侵略性の強いものの一つですが、この近縁種であるキツリフネ(Impatiens noli-me-tangere)は数が少なく、絶滅危惧種です。これも化学物質に対する抵抗性の違いによるものと考えられます。
また、ヤグルマギクC. maculosaの在来生息地にいる土壌微生物は雑草の生長を抑制する効果が高く、侵略地である北米の土壌微生物は、C. maculosa自身の生長を高める作用が強いことが示されています。これらのことから、この外来種の侵略を北米で成功させた理由は、化学物質だけではなく、根圏の微生物相の違いも影響していると考えられています。
http://www.geocities.jp/doctor_mitsui/plant_3.html