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アメリカ合衆国憲法修正第18条
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アメリカ合衆国憲法修正第18条(Amendment XVIII)とは、飲料用アルコールの製造・販売等を禁止するかつてのアメリカ合衆国憲法の修正条項の一つ。
1933年に修正第21条の批准によって廃止された。日本では、修正第18条とこの修正条項を実施するための法律であるボルステッド法(Volstead Act)とを明確に区別することなく禁酒法(きんしゅほう)と呼ぶことが多い。
経緯 [編集]
ピューリタン(清教徒)の影響が強かったアメリカ合衆国では、アルコールに対する強い批判があり、1851年にメイン州で最初の禁酒法が制定されたのを皮切りとして20世紀初頭までに18の州で禁酒法が実施された。宗教的理由に加え、男性が(不健全な)酒場に入り浸り家庭生活に支障をきたすことに対する女性からの批判は大きく、女性を中心とする禁酒運動は根強く存在していた。そこに第一次世界大戦の開始に伴い戦時の穀物不足を予防するという経済的な動機が出現し、全国的な禁酒法制定への機運が盛り上がった。なお、そこには酒造・酒販業界を牛耳るドイツ系への反発感情もあったと見る向きもある。
禁酒法を全米に適用するには合衆国憲法の修正が必要となるため、修正案が連邦議会に提出された。修正第18条は、1917年12月18日に議会を通過した。ウィルソン大統領はアルコール度2.75%以下の酒類の除外を議会に働きかけたが失敗した。1919年1月16日に3/4の州(当時36州)による批准が完了し憲法修正条項が成立したが、既にこの時点で禁酒法導入の名分の一つとされた第一次世界大戦は終結していた。しかし憲法修正を受け連邦議会はボルステッド法を制定し、翌1920年からアメリカ全土で施行された。
禁酒法では、飲料用アルコールの製造・販売・運搬等が禁止されたが、自宅内における飲酒は禁止されなかったので、多くの富裕層は施行前に酒を大量に買い溜めしていた。
問題 [編集]
実際にはざる法であり、うまく機能しなかったと言われている。飲酒禁止によって犯罪を抑止しようとしたが、逆に酒をめぐる犯罪が増加したためである。
- 隣国カナダからの輸送を取り締まらなかった。カナダ国内で合法的に販売された酒類は爆発的に売れ、アメリカへと持ち込まれることになった。これによりカナダ経済は非常に潤うという結果を生んだ。
- 禁酒法の執行官の待遇が悪かった。密造業者や密造、アル・カポネをはじめとする密売に関わるギャングに買収されたりした執行官が多かった。
- 密造酒による健康問題や、密売に関わるギャングやマフィア同士の抗争による治安の悪化も問題となった。
- 不健全な酒場を廃止することが目的の一つだったにもかかわらず、より不健全な非合法酒場が横行した。
- 世界恐慌で景気が後退すると、財政難の中、密売酒・密造酒が課税されないことが大きくクローズアップされるようになった。
- 医療目的と称して薬局を通すと、ウイスキーを手に入れることができた。ちなみに、病院に行けば、医者は1枚2ドルで処方箋を書いていた。
廃止 [編集]
ルーズベルト大統領は当選すると、かねてからの公約通り禁酒法の廃止へと動いた。そして、1933年2月17日にアルコール度3.2%以下の酒類の販売を認めるブレイン法 (Blaine Act) が連邦議会で可決された。さらに、2月28日には修正第18条を廃止する修正第21条が可決され、12月5日に施行された。
禁酒法が施行されていた期間は、13年10か月。フーヴァー大統領が「高貴な実験」と呼んだ禁酒法は、悪法の代名詞として後世に記憶された。
しかしながら、米国では、現在でも、18州が酒類の販売を州営の店舗等、特定店舗のみに規制している (Alcoholic beverage control states)。また、酒類の販売を全面的に禁止している郡即ちドライ・カウンティ (Dry county) も、南部及び中西部を中心に多数存在する。
関連項目 [編集]
焼酎(2)
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本格焼酎
「本格焼酎」とは
戦後1949年の酒税法で「甲類・乙類」の分類呼称が定められたが、通常甲乙の称は等級や順位でも使われる表現であるため、ややもすれば「乙類」が「甲類」に劣ると誤解されかねなかった。これを危惧した江夏順吉(当時の霧島酒造社長)が1957年に九州旧式焼酎協議会において「本格焼酎」という呼称を提唱、1971年(昭和46年)12月10日に「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律施行規則」(昭和28年大蔵省令第11号)が一部改正され「本格しようちゆう」と呼称・表記することが可能となった[11][38]。(2008年12月現在、法令の条文上では「本格しようちゆう」のみが使用されており漢字の「本格焼酎」の登場例はないが、以下業界での慣用に倣って本節では後者を用いる。)
しかし、「本格焼酎」の呼称を用いる基準が必ずしも明確でなかったことから議論が生じ、その結果2002年11月1日に前述の省令の一部改正により基準が強化され、以下に掲げるアルコール含有物を蒸留したものでなければ本格焼酎と名乗ることはできなくなった。なお、単に「焼酎乙類」「単式蒸留焼酎」と表示するのであれば材料は制約されない[39]。
- 穀類又はいも類、これらのこうじ及び水を原料として発酵させたもの
- 穀類のこうじ及び水を原料として発酵させたもの
- 清酒かす及び水を原料として発酵させたもの、清酒かす、米、米こうじ及び水を原料として発酵させたもの又は清酒かす
- 砂糖(政令に掲げるものに限る)、米こうじ及び水を原料として発酵させたもの(黒糖焼酎)。
- 穀類又はいも類、これらのこうじ、水及び国税庁長官の指定する物品を原料として発酵させたもの(その原料中国税庁長官の指定する物品の重量の合計が穀類及びいも類及びこれらのこうじの重量を超えないものに限る)
本格焼酎ブーム
日本では、2003年頃から焼酎乙類を対象とする「本格焼酎ブーム」が起き、同年には焼酎類全体の出荷量が日本酒の出荷量を約50年ぶりに上回り[40][41]、2004年には売上高もピークを迎えた[41]。ブームに伴って、本格焼酎を専門に扱う焼酎バーも登場している。
ブームの影響によって、材料や製法にこだわった焼酎も盛んに市場へと送り出されていた[40]。鹿児島で本格焼酎は1500円前後の商品が消費の中心であるが[18]、より美味しい焼酎を望むニーズと、作り手のこだわりによって高価格で本格志向である味の焼酎[注釈 3]も登場した。しかし、少なからぬ弊害も生じた。ブームのピーク時には芋焼酎の原料となるサツマイモが市場に不足する深刻な問題が起きたほか[41]、一部銘柄ではプレミアがつき、一本数万円などという値段が付けられるようになり[42]、森伊蔵については偽物が出回る事件にまで発展した[43]。
本格焼酎需要急上昇に伴い、各地で焼酎の生産設備拡充や休止酒造場の再開、新規参入などが図られた。しかし2006年初頭からブームは沈静化しつつあり、例えば帝国データバンク福岡支店は2006年の売上が2年連続で下落したことから焼酎ブームは去ったと分析し、ブームの反動・縮小による焼酎業界への悪影響を懸念しており[41]、日本銀行鹿児島支店が2008年2月に公表した、今回の焼酎ブームについてまとめたリポート[12]では「今回のブームは終焉した」と指摘、「銘柄選別の時代に入った」と結論付けた[44][45]。
脚注
注釈
- ^ ウイスキーやスピリッツなどの蒸留酒の酒税が焼酎より高く設定されていた当時の税体系は非関税障壁であるとする洋酒生産国によるGATTへの提訴において日本が敗訴(1987年)したため、日本は消費税導入(1989年4月)と同時に酒税改訂を行った。しかし措置が不十分であるとする洋酒生産国によるWTOへ同様の提訴により再度日本が敗訴(1996年)したため、日本は段階的(1997年-2000年)に焼酎の酒税を引き上げた(参考文献:WANDS. “日本政府の対応に怒りあらわ 欧米の蒸留蒲生産着代表団が来日、酒税法改訂を強く迫る”, 『月刊 WANDS 1996年12月号』 (日本語). ウォンズ パブリシング リミテッド. 2008-07-08 閲覧。 、Shibatani Tomohiro. "本格焼酎の定義" (日本語). 本格焼酎の楽しみ. 2008-07-08 閲覧。)。
- ^ 例として、宝焼酎「純」(ブレンド、熟成、蒸留方法・回数、等)、サッポロ「トライアングル」(原料、ブレンド、等)、アサヒ「SAZAN(サザン)」(蒸溜機、等)、合同酒精「グランブルー」(加水種類、等) などがある。
- ^ 一例として、濵田酒造「なゝこ(ななこ)」 などがある。
出典
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参考文献
外部リンク
焼酎(1)
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日本国内では酒税法によって種別基準が定められており、連続蒸留しょうちゅう(旧甲類)と単式蒸留しょうちゅう(旧乙類)に分けられている(2006年5月1日酒税法改正による変更)[1]。焼酎への酒税は政策的に安くされていた[2][注釈 1]。また、大衆酒として広く飲用されてきた歴史がある[3]。
南九州を中心に醸造が盛んである[4]。また、長崎県壱岐や伊豆諸島など島嶼でも焼酎が醸造されている[5][6]。
定義
酒税法では「アルコール含有物を蒸留した酒類」のうち、以下の条件を満たす酒類を焼酎としている[1]。
- 発芽した穀類を使用していない
- 白樺の炭などで濾過していない
- 蒸留時に別途定められている物品以外を添加しない
- アルコール度数が連続式で36度未満、単式で45度以下を下回る
甲類と乙類
連続蒸留焼酎(焼酎甲類)
一般に糖蜜等を原料とした発酵液をもとに、連続蒸留器で蒸留して高純度エチルアルコールを生成し、これに加水したものである[1]。
日本の税法上はアルコール度数36%未満[1]。製法上、何度も蒸留を行うため、アルコール純度が高くなり、原料本来の風味が失われるため、味覚の個性は薄い[11][12]。また、甲類の範囲にてブレンド、熟成、蒸留回数、蒸留機、加水種類、原料、等で変化をつけることによって、ある程度の特徴的な風味を持つものも存在する[注釈 2]。
低コストでの大量生産に適するため、大手企業によって量産され、それらの販売シェアが高い状況となっている[13]。手を加えて飲まれることもあり、チューハイなどのベースや、リキュールの材料、或いはカクテル作りの際に用いられたり、ジン・ウォッカなどの代用品として使用されることもある。梅酒などの果実酒づくりに用いられる「ホワイトリカー」もこの甲類焼酎である。JINROに代表される甘味の強い韓国焼酎が盛んに輸入され[14]、これも日本の税法上では焼酎甲類に区分されている。
税法上では「連続式蒸留焼酎」表記の代わりに「ホワイトリカー(1)」と表記することも認められる[1]。
単式蒸留焼酎(焼酎乙類)
米、麦などを原料とし、単式蒸留器で蒸留して作る焼酎である[1]。
日本の税法上はアルコール度数45%以下[1]。基本的に1回のみの蒸留のため、原料本来の風味や旨み成分が生きていることが特徴である[11][12][15][16]。南九州地方が特産地として有名[4]。
製造法の流れは以下の通りである[17]。
- 元の原材料(多くの場合は米ないしは麦)へこうじ菌を生やし、麹をつくる。
- 麹をタンクや甕(かめ)で発酵させ、もろみを作る(一次発酵)。
- 一次発酵させたもろみの中へ原材料を投入させ、発酵させる(二次発酵)。このとき投入した原材料が焼酎の主要原材料として表記されることになる。二次発酵としてサツマイモを投入すれば「芋焼酎」となる。
- アルコールが生成された発酵液を蒸留する。
産地の南九州では、お湯割りで飲まれる事が多い[11][18]。焼酎のお湯割りは、酒杯に先に湯を入れ、後から焼酎を静かに加えることによって、対流が発生し自然に混ざる状態となる[11]。こだわる人は先に焼酎と水を合わせておき、一日もしくは数日おいて馴染ませたものを黒ぢょか等の酒器にて燗をして飲むこともある[11][19]。
旧酒税法が制定された1940年以来、単式蒸留焼酎(乙種)は酒税の保全や過当競争防止等の理由にて麦・米・さつまいも・そばの主要4品種については新規製造免許を認めない方針によって[20][21]、製造の新規参入ができない状態が長らく続いていたが、構造改革の一環として国税庁が2005年に規制緩和の見解を示し、一部地域・条件付きながら2006年以降に新規免許が認められる事となった[22]。
税法上では「単式蒸留焼酎」表記の代わりに「焼酎乙類」「ホワイトリカー(2)」と表記することも認められている。また、後述するように、焼酎甲類に対して劣るという誤解を避けるために「本格焼酎」という呼称も用いられる[1]。
未納税移出
単式蒸留焼酎の世界では未納税移出[23]、いわゆる「桶買い」「桶売り」という制度がよく使われている。これは同一の酒類製造免許をもつ事業者同士で生産した酒類をやり取りする場合には酒税がかからないという制度を利用したもので、清酒の世界でもよく行われている。単式蒸留焼酎業界では大分県の大手麦焼酎メーカーが鹿児島や宮崎の芋焼酎メーカーの閑散期に麦焼酎の生産を委託することが多い。
この制度があるため、単式蒸留焼酎製造メーカーの統計を見ると生産量と出荷量と実際にそのメーカーのブランドで販売された量が異なっていることがある。このことから国税庁の資料では出荷量や生産量ではなく、あくまで税金がかかる出荷をした場合の数量、すなわち課税移出数量で統計を管理している。マスメディアなどで「出荷量」という場合には未納税移出数量を含んだ「実出荷量」と未納税移出数量を除いた「課税移出数量」を混同して報道しているケースがあるので注意が必要である。
混和焼酎
甲類と乙類を混和したものである。甲類と乙類のどちらが多いかで呼び名が異なる。乙類を50%以上95%未満混和したものを「乙甲混和焼酎」、乙類を5%以上50%未満混和したものを「甲乙混和焼酎」と呼ぶ[1]。
以前は本格焼酎と紛らわしい表示がされたり、混和率などの情報が表示されなかった商品もあったが、業界内で混和焼酎の表示に関する自主基準を設けて、2005年(平成17年)1月1日から実施している[24][25]。
乙甲混和焼酎
乙類100%では匂いが強いなどの理由で飲みにくいと敬遠されることがあるため、これらを和らげるために用いられる。飲みやすさへの志向が強い。
甲乙混和焼酎
安価な甲類の利点を活かしながら、乙類の風味を加えることで安価で風味のある製品を作ることができる。価格への志向が強い。
その他の焼酎
上記の焼酎のほか、近年は日本各地で様々な原料を利用した焼酎が造られている[26][27]。通常と変わった材料を用いたとする焼酎の多くは、地域おこしなどを目的として人目を引く物珍しさが前面に出される傾向が強く、焼酎全体のカテゴリーの中では傍流に留まっている[要出典]。
- 一般的な主原料(糖蜜、麦などの穀類)以外を主原料に用いた甲類焼酎。
- 乙類焼酎で米こうじか麦こうじを発酵に利用し、主原料のみ独自の原料を用いたもの[26]。そば焼酎はこの中でも抜きん出て成功した例と言える[26]。
- 一般的な既存の甲類・乙類焼酎または混和焼酎に、独自原料の果汁・エキス類を混和した、リキュールの一種とも言うべきもの(柑橘焼酎、シソ焼酎、昆布焼酎、トマト焼酎など)[26]。
乙類の種類
焼酎乙類は一次発酵・二次発酵を経てつくられたもろみを蒸留して製造されるものが主流をしめており、粕取り焼酎は1000klに満たない[28] 。以下のような種類がある。
黒糖焼酎
奄美諸島では江戸時代から第二次世界大戦以前まで、泡盛や黒糖酒(黒砂糖原料の蒸留酒)が製造されていた。だが、戦間期から戦後のアメリカ占領時代にかけ、米不足で泡盛の原料に事欠く一方、黒砂糖は日本本土に移出できず余剰だったことから黒糖酒が多く作られるようになった。
1953年、奄美諸島の日本返還に伴い日本の税法を適用するにあたり、黒糖酒は酒税法上「焼酎」として扱われず税率が高いことから、「焼酎」扱いを望む島民の要望もあり、取り扱いに関して議論がなされた。当時の大蔵省は奄美諸島の振興策の一環として、米こうじ使用を条件に、熊本国税局大島税務署の管轄区域(奄美諸島)に限って黒糖原料の焼酎製造を特認した[29]。
以後、黒糖焼酎は奄美諸島でしか製造できない特産品となって現在に至っている。口当たりは比較的柔らかく、癖が少ない。原料から想像されるほどに甘味は強くない。
現在、奄美諸島では泡盛は製造されておらず、黒糖酒は奄美諸島全域で製造されている。
小笠原諸島において、日本領土になった明治時代初期からサトウキビ栽培によって製糖業が盛んとなり、その過程で生じた副産物を発酵・蒸留した製法で、焼酎に類似する「糖酎」「泡酒」「蜜酒」と呼ばれた酒が戦前に醸造されていた[34][35]。戦時中の島民疎開により途絶えていたが、1989年(平成元年)になって村おこしの一環として小笠原村の役場・農協・商工会によってこれを扱う企業が設立され、その製法を模したラム酒が製造されている[34][35]。過去に「糖酎」の表記で発売された事があったが税務署より指導が入り、その際の見解によって特認が得られず[要出典]、税法上はラム酒(スピリッツ、もしくはリキュール類)の扱いとなっている。
最近では、焼酎や泡盛のルーツと言われるタイでもきび南蛮を始めとする黒糖焼酎が発売され話題となっている。
泡盛
沖縄県特産の蒸留酒である泡盛は米を原料としており、その製法は一般的な焼酎と差異があるものの、税法上は焼酎乙類の範疇に入れられている[1]。
法制上、泡盛自体は日本全国で製造することができるが、「琉球泡盛」という表示は世界貿易機関のTRIPS協定に基づいて沖縄県産の物のみに認められている。
詳細は泡盛を参照
粕取り焼酎とカストリ
粕取り焼酎
もろみ取り焼酎とは別の製法で、清酒かす(日本酒の酒粕)を蒸留して造られる「粕取り焼酎」と呼ばれる焼酎がある。粕取り焼酎は九州北部を中心に発達し、全国の清酒蔵で製造されている。江戸時代の本草書『本朝食鑑』に、「焼酒は新酒の粕を蒸籠で蒸留して取る」とあるように、清酒が醸造される地域で焼酎といえば粕取り焼酎のことであった。新しくできた酒粕をそのまま蒸留する方法と、籾殻(もみがら)を混ぜて通気性を確保してから蒸留する方法があり、前者は吟醸粕取焼酎、後者を正調粕取焼酎と呼んで区別している[36]。 貯蔵した酒粕を蒸留し早苗饗(さなぶり)という田植え後のお祭りで飲んだことから、別名「早苗響焼酎」とも呼ばれる。蒸留した後の粕は田の肥料として使われていた。
太平洋戦争後、カストリと混同されたこと、独特の香りが時代の嗜好に合わなかったことなどから需要が低迷し粕取り焼酎の製造から撤退する蔵が相次いだ。また、かつては福岡県内を中心に粕取り焼酎専業の蔵も多くあったが、現在では米焼酎の製造を行うなど、専業蔵は消滅している。しかし、昨今の焼酎ブームにより、日本酒製造メーカーが粕取り焼酎に再び進出するケースが増えている[36]。
梅酒をつける際にベースとなるアルコールやみりんの主原料としても使われた他、日本酒の仕上げ工程において中途で発酵を止め、防腐や辛口に仕上げる目的で用いられる「柱焼酎」として使われる場合も多かった。また、外傷の消毒薬としても用いられた[29]。
カストリ
第二次大戦後の社会混乱期、酒不足の世相の中で粗悪な密造焼酎が出回った[37]。原料・出所がまったく不明、甚だしい例では人体に有毒なメチルアルコールを水で薄めたものまで売られる始末で[37]、これら悪酔い確実な代物が俗に「カストリ」と総称された[37]ため、一般にも「カストリ=粗悪な蒸留酒」というイメージが定着した[37]。その影響で、決して粗悪でない本来の粕取り焼酎まで誤解によってイメージダウンした時期がある[37]。ここから派生した戦後の混乱期を象徴する表現として、「カストリ雑誌」という言葉もあった。
密造酒
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密造酒(みつぞうしゅ)とは、政府等の公的機関の許可を得ないで製造されたアルコール飲料の総称である。本来、酒税の課税対象であるアルコール飲料を無許可で製造するため、大抵の近代国家では、税制度への依存度が高まるにつれ、これら密造酒製造には厳罰が科せられる傾向が強い。
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概要 [編集]
近代国家の成立において、税制は国家経済の基礎となるが、特に嗜好性の強い酒類は、多くの国家で課税対象にされた。しかししばしば課税額の設定が高過ぎるため、一般の家庭や地方コミュニティー等で自家消費する酒類の製造を、中央の政府に許可を得ずに行う事が横行した。
近代ヨーロッパ史において、酒造の歴史は往々にして密造酒の歴史と重なる事が多い。君主政治下においては王侯・貴族が政治を私物化することもままあったが、この中では自身の生活でより贅を尽くすため、酒税を始めとする嗜好品には重税を科すことも行われた。また戦争という国家の沽券をかけた事業には莫大な経費がかかったが、酒税は近世において大衆から資金を広く徴収するには「非常に便利の良い」口実ともなった。これらの事情により、特に酩酊しやすい蒸留酒ほど、より高額な税収が期待され、また高い酒税率が設定された。そのため、こういった課税を回避するために秘密裏に作られた密造酒の多くが蒸留酒である。
これら密造酒は往々にして製造者がいい加減に作っている事が多いため、衛生的ではなかったり、飲用に適さない成分が含まれている事もある。しかしちょっとした知識と入手しやすい道具で、家庭で簡単に製造できる部分もあるため、しばしば製造され、自家消費は絶えないとされている。家庭内で製造される物に関しては、滅多に露見する事も無いため、一向に摘発が進まないのも、この問題に根強く絡む部分である。
日本に於ける密造 [編集]
税務署からの免許がない状態でのアルコール分を1%以上含む酒類の製造は、酒税法で禁止されている。酒税法第54条には罰則規定があり、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられると同時に、製造された酒類、酒母、もろみ、原料、副産物、機械、器具又は容器が所有者の如何に関わらず没収可能な規定がある。免許を交付されるためには、一定以上の量を製造しなければならないが、清酒やビールなどは60キロリットル以上、ウイスキーや果実酒など少ないものでも6キロリットル以上を製造せねばならず、個人が家庭で製造することは事実上不可能である。ただし例外で黙認されている地域もある(青ヶ島村など)。また農業学校(高校・大学)のそれは量産しない「醸造試験所」扱いの例外である。
酒に水以外のものを混和する場合も違法であるが、家庭や飲食店で酒に消費の直前に酒を混ぜること(カクテルなど)や自家消費用に20度以上の酒に酒以外のもので以下に挙げるものを混和しない場合に、混和後アルコールが新たに1度以上発酵しない場合に認められている。(酒税法施行令(昭和三十七年三月三十一日政令第九十七号)第50条第10項第2号及び酒税法施行規則(昭和三十七年三月三十一日大蔵省令第二十六号)第13条第3項)つまり、自家製の梅酒などがこれに当たる。
- 一 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりやん、きび、ひえ若しくはでんぷん又はこれらのこうじ
- 二 ぶどう(やまぶどうを含む。)
- 三 アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす
ぶどうの混和が認められていないのは、ブドウ果実自体に含まれる強力な酵素が新たなアルコール発酵を促してしまい、リキュールの度数が上昇するためであるとされている。 しかし実情は、ぶどう由来の成分により税区分がリキュールのものからワインのものに適用されることによる。税率の差分によりいわば脱税が発生するため、ぶどうの混和が認められないのである。
同様の理由により、一に示される穀類の混和が禁止されている。
なお2008年4月30日から、一定の要件の下に、免許がなくとも旅館や飲食店等も梅酒等が出せる特例措置が設けられた。適用を受けるためには税務署へ特例適用の申請を行う必要がある[1]。
密造酒の例 [編集]
- ウィスキー
- 樽詰前のウイスキーは、穀物を発酵させて作る、僅かに麦芽乾燥に用いた燃料の香りがするだけの蒸留酒(スピリッツと呼ばれる)だが、古くはこのスピリッツを直接飲用していた。しかし密造酒ともなると、大っぴらに販売する事はおろか、それと判る状態で街道を使って運搬するだけでも摘発される危険性があったため、しばしば酒税の安い酒精強化ワインであるシェリー酒の樽に入れて運搬された。また摘発を逃れるため、何年も各地に点在した洞窟に隠される事も多く、幸か不幸かシェリー樽に詰められたスピリッツは熟成され、現在のスコッチ・ウイスキーが完成された。
- 禁酒法
- これとは別にアメリカでは、1851年から段階をおって全米各地で施行された禁酒法により、酒類の製造・運搬・販売が禁止されたが、逆に酒類の密売に加え粗悪な密造酒が横行し、アル・カポネを始めとするギャング集団が大々的な密造酒の製造と密売で巨額の富を手中にするといった、芳しくない社会現象が発生した。この時、製造・密売されていたのは通称バスタブ・ジンと呼ばれる蒸留酒で、風呂桶に水を張って手製の蒸留器を沈め、これを使って蒸留された。これらの製造過程はお世辞にも衛生的とは言えず、また医薬用のメチルアルコールが混入した物まで出回るようになり、健康被害を受ける人や1,500人を超える死者が出て問題となった。禁酒法自体もその実としてざる法で、密造業者らは捕まってもすぐに釈放されていたという。
- どぶろく
- どぶろく(濁酒)は清酒発生以前の、米を使った素朴な酒類で、一般家庭でも米を炊いた飯と水と麹があれば、誰にでも簡単に作る事が出来る。日本では明治時代に政府が、税収の3割にのぼる酒税の徴収を行うため、酒税法によって清酒の生産を厳しく管理した。しかし農村部(特に秋田県北部などの東北地方)では日常的にこれらどぶろくが作られ、家庭内で消費されていたという。この摘発が難しい家庭内のどぶろく作りは昭和中庸まで続き、現代に至っては「どうせ取り締まれないんだし、酒税徴収も税収のほんの一部に過ぎず、しかも洗練された清酒に比べたらだいぶ味わいの劣る家庭生産のどぶろくが今更酒造業界に打撃を与えるとも考えられず、これらに関しては解禁すべきではないか?」とする議論も興っている。これには欧州などの自家生産ビールやワインが、広く農村部などで自由に愛飲されている事もあり、同種の商業主義に寄らない家庭で消費される酒類の扱いが議論の的となっている。
脚注 [編集]
関連項目 [編集]
梅酒
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梅酒(うめしゅ)とは、一般的に6月頃に収穫される青梅をアルコール(ホワイトリカー、焼酎が一般的)で漬け込んだ酒で、日本を代表するリキュールである。「うめざけ」「ばいしゅ」「うめじょうちゅう」とも言われる。
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概要 [編集]
夏の喉の渇きを止め、暑気払いや疲労回復に良く、また体を温める。梅とアルコールの殺菌効果で、生水に少量落とすと毒消しにもなる。家庭でも簡単に作れることから、古来民間の健康酒として親しまれ、近年では食前酒としても飲まれている。
製造法 [編集]
酒に砂糖を加えたものに、梅の実を漬けて冷所保存する事で作られる。
一般的な割合は、梅の実1kgに対して砂糖0.4~1kg、酒1.8lである。梅の実の茎を竹串などで取り除き、傷のある実があれば除く。よく洗ったのち念入りに拭いて水分を取り、1時間ほど天日で干す(時々ひっくり返し完全に乾燥させる)。梅と砂糖を交互にビンに詰める。この際、梅が浮いてこないよう砂糖を一番上にする事が多い。これにゆっくりと酒を注いで密栓し、冷暗所で保存する。
梅酒に使われる梅には、最高級梅とされる南高梅の他、古城、白加賀、鶯宿、豊後、竜峽小梅、林州、玉英、梅郷など、果肉が厚く種の小さい酸味高い品種が用いられる。黄色く色づき熟した物ではなく、青梅が良いとされるが、熟した梅を使用しても独特の香りが得られる。
砂糖は一般的に氷砂糖が使用されるが、蜂蜜、黒糖、果糖なども使用される。溶解が比較的おだやかな糖類の方が好ましい。その理由については、糖が溶け出す前に浸透圧差によって酒を吸った梅から、糖が溶けた後に浸透圧が高まった酒にその成分を放出するためと説明されている。梅が酒を吸う前に急速に糖が溶解すると、浸透圧が釣り合ってしまって梅に含まれる成分は放出されない。実際、酒だけ入れておいて置くと、梅の香りがするだけの酒が出来上がってしまう。
酒はホワイトリカー(甲類焼酎)、ブランデーを用いるのが一般である。ジン、ウォッカ、ラム酒、本格焼酎、泡盛などの蒸留酒や、日本酒、ワインなどの醸造酒、みりんなどが用いられる場合もある。ただし旨味を出すには長期の熟成が必要となるため、低アルコール度数の酒を使う場合は腐敗やカビの発生に注意を払わなければいけない。一般的に35度以上の酒が望ましいとされている。また、自宅で漬け込む場合には、アルコール度数が20度以下の酒を使うと違法である。なお、日本で市販されている梅酒の多くは、アルコール度数10~15度である。
漬け込み期間が1年程度のものが多い[要出典]。 期間を長くし、置いておくほど"こく"が出るとされ、10年以上熟成させたものも市販されている。長期間熟成させる場合、梅の実を途中で取り出し、また、その取り出した梅を食用とする事もある。
日本の法律の例外規定 [編集]
1962年に改正された酒税法では、自分で飲むためであれば、アルコール度数が20度以上の酒類に、下記の物品以外のものを混和する事を「製造行為」と見なさないとする規定を、例外的に設けている。
- 米・麦・あわ・とうもろこし・こうりゃん・きび・ひえ・でんぷんまたはこれらのこうじ
- ぶどう(やまぶどうも含む)
- アミノ酸もしくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物もしくはその塩類、有機酸もしくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす(酒税法第7条、第43条第11項、同法施行令第50条、同法施行規則第13条第3項)
アルコール度数が20度以下の場合、上記の物品を混和した場合は、漬け込む過程で醗酵が生じ、アルコールが生成される可能性がある。つまり上記は、漬け込む過程で絶対にアルコールが生成しないという条件に基づいて設けられた規定である。従って10~14度の一般的なみりんなどで漬け込む場合は、腐敗の可能性だけでなく法律違反となる(酒税法施行令第50条第10項の1)。
2007年6月14日、テレビ番組『きょうの料理』(日本放送協会)の「特集★わが家に伝わる漬け物・保存食~梅酒~」にて梅酒のつくり方[1]を放送したが、そのレシピに従い個人が梅酒をつくると違法となることがわかり、後日、謝罪放送がされる[2]という事態が発生した。
なお1962年の改正以前は、家庭で梅酒を作る事は酒税法違反行為であった。ただし現実には一般家庭において梅酒を作る事は普通に行われており[3]、酒税法の改正は現実にそぐわない法律の改正という意味合いがあった。
その後、2008年4月30日に酒造法における租税特別措置法が制定・施行され、酒場、料理店等については、申請をすることによって一定の要件の下に酒類の製造免許を受けることなく、その営業場において自家製梅酒等を提供することができるようになった。
申請については国税庁ホームページで指定様式の申告書『特例適用混和の開始・休止・終了申告書』をダウンロード〈申請・届出様式→酒税関係→38.特例適用混和の開始・休止・終了申告書〉し、所轄の税務署に郵送または持参する。 みなし製造適用除外・条件は次の通り ①酒場、料飲店が自分の店で販売(飲酒)することを目的に蒸留酒類と酒以外の物品(梅など)を混和する場合および焼酎と水を事前に割っておいたものを提供するいわゆる前割りには酒税法に定められているみなし製造の規定を適用しない ※他者への譲渡や店外飲酒を目的に販売することはできない ②酒場、料飲店が自分の店で販売できる量は1年度(4月1日~翌年3月31日)当り1kℓ(1000ℓ)以内に止めなければならない ③みなし製造を行う場合、事前に税務署へ届け出なければならない
梅酒を使ったカクテル [編集]
- 梅酒ロック
- 梅酒ソーダ
- 梅酒アイスティー
- 梅酒&マンゴー
- 梅酒ジンジャー
- 梅酒&グレープフルーツ
- 梅酒&オレンジ
- あまずっぱ(+ドライジン+グレープフルーツジュース+グレナデン・シロップ)
- 吉祥天女(+スミノフの40度ウォッカ+モナン・ピーチ・シロップ+ピーチネクター)
- 黄金池(+チェリーブランデー+ブルーキュラソー+ジンジャーエール)
- 梅酒モーニ(+グレープフルーツジュース+トニックウォーター)
- 梅酒フィズ(+レモンジュース+グレナデン・シロップ+ソーダ)
脚注 [編集]
- ^ 『くらしのパートナー:きょうの料理』日本放送協会。
- ^ 「お詫びと訂正」『くらしのパートナー:きょうの料理』日本放送協会。
- ^ チョーヤ梅酒が梅酒の製造販売を開始したのは1959年であるが、社内からも「梅酒は家庭で普通に作っているから、売れないのではないか?」という反対意見が多かったという。